リレー小説第4話。

というわけで。書いてみたわけで。小説書くの初めてですが。いや正確にはほぼ初めてで。しかもリレー小説です。眠い。

まあ要するに、↓のあきよし氏主催リレー小説大会に参加してみました。

1話(あきよし氏)

2話(cgmi氏)

3話(Mon氏)


第4話


「暑いーーーっ。それに遅いー。コレって遅刻よね、遅刻。あたしは待ち合わせより三十分以上早く来て待ってるってのに。だいたい初デートで遅れてくるって普通ありえないわよ。ってかひょっとして時間とか場所間違ってる? ……いや、あってるあってる、ちゃんとメモったし、タヌキさんの像がある駅なんてここだけだし。ぅあ〜も〜、しかも何でこんな日に限ってケータイ忘れちゃうんだろ……」

 口に出しこそしないものの、比奈乃は心の中で嘆いていた。さっきからずっと――正確には約束の十時を過ぎた頃から、そして今も――不安と、それ以上に不満が積もっていく。

 そこらの人をひっつかまえて愚痴をこぼせたなら、いくらか気分は晴れていたかもしれない。実際、十時を回ってからは幾度となくそうしたいと思った。そのうち三回くらいは実行に移そうかと考えたほどだ。幸い、いずれも思いとどまり未遂で済んだのだが。

 比奈乃が待ち合わせの場所に着いたのは、九時十五分。約束の十時より四十五分早い。比奈乃にとっては珍しく、かなり時間に余裕がある。

 なにせ、普段の比奈乃は学校に遅刻しない日の方が少ない。本人に言わせれば、「先生が来るまでに教室に入りゃいんじゃな〜い、ちゃんと間に合ってんだから〜」なのだが、どちらにしろ時間感覚には少々問題ありだろう。



 腕の時計に目をやる。この数十分で幾度も繰り返した動作。時計の長針は九時の位置まで回ったところだった。

「ダァメ、養分が足んないわ」

 ついに、じっと待っていることに耐え切れなくなったのか、比奈乃はそう力無く呟き、近くのコンビニへと歩き出した。





 ――二、三分ほどで野菜ジュースと栗の入ったあんパン(比奈乃のお気に入りの)を買い終えると、店の入り口から再びタヌキの像のあたりを眺める。

「……まだ、来てないか」

 冷たい野菜ジュースを飲みながら、少し冷静になって考えてみる。

 ――晃樹のこと。

 あの言葉が、胸の奥で聞こえた。



「からかわれたのかな……」

 不意に、一番考えたくなかった推測をしてしまう。そしてまた、そんな考えを頭から振り払うように、あの言葉を思い出した。

「あははは、あれは演技じゃできないよね、うん」

 それならと、他の可能性を考えてみる。寝坊した、時間か場所を間違えた、あとは……、事故。

無意識に、比奈乃は彼の家の方角に振り向いた。

 ほぼ同時に、黒い物が視界の真ん中あたりを上から下にスッと動いた。

「なんか、落ちてきてる?」

一瞬の思考停止の後、そう気付いた。地面と、そして空気が揺れていた。



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